知らないは怖い

2022年08月31日
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こんにちは。先日お得意先のお客様からこんな電話がありました。

 

とある会社に貸している倉庫の電動シャッターの開閉に不具合が出た。開閉ボタンを押し続けないと開閉しなくなったとのこと。安全装置の電池が切れえているのかと思い、交換してみたが直らなかった。最初はこの倉庫のテナントさんがこのシャッターのメーカーに連絡し、見積もりを取ったそうなのですが、出てきた見積もりが安全装置の取替で、金額が20万強と高額で、困ったテナント様から私の方に相談があった。私としてはいくらか負担するのは仕方ないとは思っている。ただ、この金額は高いと思っており、私自身はシャッター工事に詳しくない為、詳しい人に聞きたいと思い、三基に連絡した。

 

実際には少し違うのですが、概ねこんな感じの連絡がありました。ハッキリ言って、お客様が弊社に連絡したのは、かなりのファインプレーだったと思います。この話を聞いて、私がまず思ったのが、安全装置の交換にしてはかなり高額だ、ということです。なので、とりあえず、テナント様がとった見積もりを見せてもらったのですが、普通はあまり見ない項目があることに気づきました。その項目とは「座板」です。この「座板」とはシャッターの一番下についている部品で、地面や物がシャッター下にあったときに一番最初に接する部分のことです。今物件のシャッターは座板検知式の安全装置がついているようなので、安全装置の一部品とも言えなくはありません。しかしながら、この部品が破損するというのは非常に稀で、それこそ、シャッターに車が突っ込む等の事故が起きてこの座板自身も誰が見ても歪んでいる、という状況でもない限り交換の必要はありません。

そんなわけで、弊社からこのシャッターメーカーの知り合いに再度、現地確認と見積もりをお願いしてみたところ、出た見積もりが、「座板」交換なしで約10万円。つまり、同じメーカーの人に見積もりしてもらったのに、金額に2倍、10万円もの差が生まれたわけです。何故こんな差が生じたのか?

 

その理由が、「最初に見積もりの為に現地確認に来た人が電気工事できない純営業の人だったから」です。

 

つまり、最初に来た人には、「座板」が破損していないことを確認する術を持っていなかったのです。だから、破損している可能性があるとして、見積もりし入れていたようです。この座板の破損を確認するには座板をガコッと上にあげ(このタイプの座板は上に押し込まれることで物を検知する)て、安全装置送信機が点滅すれば異常なしと判断できるのですが、今回は安全装置送信機が壊れていたため、それを確認することができなかったわけです。この状態で、座板が正常であることを確認するのは、配線をいじることができる電気工事関係の資格保有者でなければ無理です。弊社が連れてきた人は電気工事が可能な人であった為、座板が無事であることを確認できた、という訳です(弊社が連れてきた人が言うには、本当はこの確認にも作業費が発生しているようですが、付き合いがあるからとオマケしてくれたようです。ホント感謝です)。

そんなわけで、当然弊社の方で工事することになりましたとさ。

 

因みに、結局この物件の工事は安全装置の取替ではなく、モーター一式の取替になりました。というのも、話を聞いていると10数年既に使用しているとのことでしたので、ワザワザ10万もかけて安全装置だけ交換するよりももう20万円程足して今後10数年万全に使用できる方がお得ですよ、と説明させていただいた結果ですね。既にに10数年経っているならモーター自身の寿命でもあるので、せっかく10万円かけて安全装置交換しても、1,2年してモーターが壊れて、損をするということもあり得るので、合理的な判断ですね。

最終的にはお客様とテナント様の話し合いで安全装置交換代金の約10万円程はテナント様が負担し、残りの20万円程をお客様が負担することになりました。テナント様としては最初の見積もりの半額以下に出費を抑えられたし、お客様としても払う金額だけで見れば最初より増えてしまったが、10数年の間このシャッターに悩まされることはなくなったわけで、長い目で見れば、かなり得した結果に治まりました。

 

最終的には、皆、得して終わりましたが、コレ、最初の時点でお客様が見積もりの金額に疑問を覚えなければ、かなり悪い結果に終わっていたと思うと、恐ろしいことですよね。メーカー側にしてもこんな結果になっては評判を落としたかもしれないし、金銭的にもモーター一式交換していなければ、手間の割にはあまり儲からないメンテナンス工事を何度も行うことになっていたかもしれない訳で、今回の結果はかなり得してるのではないでしょうか。

 

知っている、ただそれだけのことで、世の中の様々なことの結果が大きく変わる、そんなことがあるのだと、実感した出来事でした。

以下参考写真

安全装置送信機

座板(座板検知式安全装置の、2枚目は座板が上に上がっている写真)